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アーティストへのインタビュー~筆塚稔尚さん

 

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Q.幼年期、また小中学生時代はどんな少年でしたか?

━ 育った家は町はずれの山裾の林の中にありました。私がその坂道を下りて行かない限り坂道を上って遊びに来る友達も少なく、自ずと父親の大工道具を引っ張り出して何かを作ったり、林を走りまわったり、一人で遊ぶことの多い方でした。
叔父がレタリングの仕事をしていたので、デザインや美術という言葉も知らないうちから広告の裏に絵を描いたり、工作をしたりしていたように記憶しています。

 

 

Q.現在のお仕事を始めることになった時期とそのきっかけについてお聞かせください。

━ 「お前の行く高校はない。・・・遠距離だけど、この高校でも受ければ・・・。」と言われて受験した高校が高松工芸高校デザイン科。デザインであろうと美術であろうと、ものつくりに携われる仕事という位置づけとして。もし私の数学の成績が良ければ、別の道もあった気がします。また、今でこそ民俗学・文化人類学という学問の道を知っていればまた違っていたかもしれません。・・・というのも、文化人類学的な知識欲は趣味として続いているし、僕の絵に反映されています。

 

 


  • 白い陰黒い影

  • 夢からの便り

  • 破片の表情-3

 

 

Q.影響を受けた作家はいらっしゃいますか?

━ ピカソもマティスも嫌いです。好きな作家と言われても浮かんでくるまで時間がかかるから、たぶんいないのかもしれません。小説もあまり読まない。影響を受けたというのは民俗学や文化人類学。町や村を歩いてどうしてこんなにも多様性があるのかと感じます。そこで出会う人たちの生き方や、手にする道具や歴史を調べることからの影響が強いのかもしれません。
そうそう、やっと影響を受ける作家の名前が浮かびました。丸山応挙の弟子、長沢芦雪。
和歌山 無量寺 の虎の図、京都国立博物館の竹林図などは大好きです。丸山応挙の描いた故郷の金毘羅宮の虎の図は、可愛がってもらった叔父の部屋に大きく引き伸ばした写真がずっとかかっていたのを、今でも忘れません。叔父が好きだった絵描きの弟子が好きになるというのも何か因縁めいて感じます。

 

 

Q.創作のアイデアがひらめくのはどんな時ですか?

━ 手を動かして作品を作っている時。頭でブツブツ考え事をしている時。言葉と出会うとき。

 

 


  • 経つ影

  • 時のわすれもの

 

 

Q.作品制作の現場(アトリエ)についてお聞かせください。

━ 仕事場は人が歩ける程度しか隙間がありません。何か別のことをしようとすると、まず今している散らかったものを片付けるところから始まります。こうしたい・・・と思って、次にどうすればそれが可能になるか・・・と考えます。道具や素材が必要になるとすぐ手の届くところにしまっておきたい。新たに道具が必要なら、何かで代用できるか、新たに道具を作ったほうが良いかすぐ考えてしまいます。

 

 

Q.創作において意図されていること、あるいは作品のコンセプトについてお聞かせください。

━ 私の絵には二つの柱があります。ひとつは「心」という見えない意識を様々な形を借りて抒情的に現した絵。もう一つは「心」をひとつの「器」や「型」になぞらえ、その留まらないありさまを色にたとえて現したものです。
柱といっても裏と表、右と左のようなもので、心の揺らぐ振れ幅のようなものです。
一見全く別の作者の様に思われてしまう私の絵ですが、これは長い間に自分が描き残したいものは「心のありさま」ということに気付いたからです。

 


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それは「むらぎも」という一語に出会ったことで確信に変わりました。「むらぎも」とは心の枕詞でとても古い言葉。不思議なことに、漠然とした潜在意識が、たった一語に出会うことによってこれほど自由な意識をもたらすとは今まで経験がありません。だから「心」を絵に現すことができるなら、具象とか抽象という違いは私には些細なことのように思えます。ただ潜在する妄想が私の体から離れ、絵として描き残せるなら。

 

 

Q.アートの定義はアーティストの数だけ存在すると思いますが、先生にとってアートとは何でしょうか?

━ ここ20年でアートという言葉を使うようになりましたが、アートという言葉は嫌いです。私は自分が作らなければこの世に存在しない、誰も見ることのできないものを見えるようにする依代としての「ものつくり」を日々していると意識しています。それをどう人が言葉に置き換えて納得するかは、既に僕の手を離れているので、僕の作り出したものに価値を見出して、それを残す努力をしてくださる人には、どのように呼ばれてもいいと考えています。言い換えれば、作り手も受けても共に価値を与えるという「生き方」だと思います。生き方だから教えられても身に付きませんし、気が付かなければ学べるものでもありません。そんな、ものや意識との出会う瞬間がなければ。

 

 

Q.アーティストの立場から一般の方々にお伝えしたいことがありましたらお聞かせください。

━ 自分が良いと思うことを、人の目を気にしないでしてほしい。もちろん、人や物と出会い自分の考えに軌道修正を加えることや、相反する事柄を混ぜ合わせ、より良い思いを実現することは必要です。人目を気にすることは、意外と人目を気にする自分の中だけの心の箍(たが)、制限だから。

 

 

 

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筆塚稔尚 作品ページ

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